【ドン・キホーテ】配車大手グラブと提携するメリットとは?

話題のニュースを「マーケティングミックスの4P」で読み解く

ディスカウントストのドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが、東南アジア配車大手のグラブと提携しました。

東南アジア向け業態のドンドンドンキの配達決済で協力するとのことです。クラブのアプリであるグラブマートを通してどんどんドンキの商品を決済できるようにしました。

今回の提携では、シンガポール・マレーシア・タイの消費者が利用できるとのことで、取り扱い商品も食料品や化粧品など最大900SKU(ストック・キーピング・ユニット:受発注・在庫管理の単位)を宅配するとのことです。

マッカーシーが提唱したマーケティングミックスの4P、「Product」「Price」「Promotion」「Place」の視点で考えると、現在の小売業態はプレイスの戦いが重要になっていることは周知の事実でしょう。

プレイスは、一般的に流通チャネル戦略と説明されることが多いですが、流通という視点に立てばさらに大きく3つに分けることができると思います。

1つは商流です。文字通りどのようなルートで商売をして消費者に商品やサービスを届けるかです。

2つ目は物流です。
商品を届けるために、どのようなロジスティクスを構築するかは極めて重要です。

そして3つ目が情報流です。
単に品物を届けるだけではなく、いかに情報を届けるかも現代の小売業にとっては重要なファクターになっています。

この3つを構築しなくては、結局自社の商品サービスを消費者に届けることはできません。

この観点から今回の提携は非常に周到なものであると感じます。東南アジアでは、いわゆるタクシー代わりに配車サービスを活用する場面というのが多いと思います。

実際に私がマレーシアの商業施設を視察した時も、配車サービスを活用し、その利便性を享受しました。

これらの配車サービスにより、商品を届けるための物流が構築されます。また決済についても、前述の通りアプリで実行できるようになっているため、商流も整っていると言えるでしょう。

その点から、この取り組みの製品については、情報流をいかに構築できるかにかかっているのではないでしょうか。

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが、どのような商流構築の施策を打ち出すのかに注目をしたいと思います。

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岩瀬敦智(Iwase Atsutomo)
経営コンサルタント。株式会社コンセライズ代表取締役。企業の価値を整理し、社内外にPRするコンサルティングを専門としている。特に中核人材に企業固有の価値と、経営理論を伝えることでリーダー人材の視座を高める講演や研修に定評がある。主著として、「MBAエッセンシャルズ(第3版)」共著(東洋経済新報社)、「マーケティング・リサーチ」共著(同文舘出版)など。法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科(MBAスクール)兼任講師。

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