【日産】EV技術体験を提供する専任スタッフを置く理由

話題のニュースを「競争地位別戦略」で読み解く

Charging an electric car, Future of transportation

2021年3月25日付けの日本経済新聞に、日産が体験型店舗による魅力的な買い物空間を演出することで顧客満足を高めようという取り組みを始めたという趣旨の記事が出ていました。その背景には、日産が長年取り組んできた EV 技術と言う根幹があると思います。

この点を「競争地位別戦略」で考えてみるとどうでしょうか。
競争地位別戦略とは、その業界の企業をリーダー・チャレンジャー・ニッチャー・フォロワーという4種類に分類し、それぞれどのような戦略をとっていけばいいかということを論じた理論です。

「リーダー」の戦略は全方位型の戦略と言われています。トヨタ自動車が様々なラインナップの車を用意していることがリーダーの戦略と言えます。

「チャレンジャー」の戦略のポイントは、リーダーとの差別化です。日産がいち早く EV 技術に着手をして市場拡大をしていることが当てはまります。

「ニッチャー」の戦略は、特定市場でのミニリーダー戦略です。大手企業が参入しにくいけれども確実に需要がある市場でトップを狙うという戦略です。軽自動車市場で高いシェアを誇るスズキの戦略が該当するかもしれません。

「フォロワー」とは、追随をする企業になるので、基本的にはリーダーの模倣が戦略の定跡になります。一般的にフォロワーの戦略は他の三つの戦略に比べて生き残りにくいと言われています。

今回の日産の体験型店舗が生きるのは、やはり EV 技術と言うコアが体験できることが大きいのではないでしょうか。

日産が競争地位別戦略のチャレンジャーの戦略であるリーダーに先んじてリーダーにできないことを堅実に続けてきたことがこの施策を可能にしたと言えるでしょう。

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岩瀬敦智(Iwase Atsutomo)

経営コンサルタント。株式会社コンセライズ代表取締役。企業の価値を整理し、社内外にPRするコンサルティングを専門としている。特に中核人材に企業固有の価値と、経営理論を伝えることでリーダー人材の視座を高める講演や研修に定評がある。主著として、「MBAエッセンシャルズ(第3版)」共著(東洋経済新報社)、「マーケティング・リサーチ」共著(同文舘出版)など。法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科(MBAスクール)兼任講師。

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