【経営戦略を事例で解説】なぜフレッシュネスバーガーは悪立地の出店に成功したのか?

製品志向ドメインと市場志向ドメイン

あなたは、「ドメインを市場志向で捉える」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
いまいちピンと来ませんよね…。
しかし、ドメインを市場志向で捉えることができたら、会社の役に立つアイデアがどんどん生まれると思います。
では、さっそく事例を通して、できるだけ分かりやすく解説していきたいと思います。

今回のテーマは「製品志向ドメインと市場志向ドメイン」です。
ドメインというのは、企業が企業活動をするために適切だと考える活動の領域のことでしたね。

ドメインについては、下記のブログで詳しく解説していますので参考にしてください。
≪参考≫
なぜあの有名コーヒーチェーン店は質の高い接客ができるのか?

後発参入のフレッシュネスバーガー

今回はフレッシュネスバーガーについてのお話をしたいと思います。
フレッシュネスバーガーって知ってますか?
行ったことありますかね?
もしかしたら行ったことがない人も結構いるかもしれません。
フレッシュネスバーガーはハンバーガーショップです。
イメージとしては、フレッシュな野菜や上質な肉を使って高価格帯のハンバーガーを提供しています。
フレッシュネスバーガーは1992年に創業しました。
その頃のハンバーガーショップの業界がどうなっていたかというと、今も昔もマクドナルドがやっぱり強かったです。
モスバーガーやロッテリアも活躍していました。
これらの大手ハンバーガーショップチェーンで、大きなシェアを占めている時代でした。

悪い立地に出した1号店は見事に成功

何が言いたいかというと、1992年にハンバーガーショップを立ち上げて多店舗展開するなんて、

「それ無謀だよね」

こう言われてる時代だったんです。
なぜなら、店舗を広げようとすれば大手からの攻撃を受けますし、結局うまくいかない事例っていうのもありました。
ところがフレッシュネスバーガーは、1992年に創業してから多店舗化に成功します。
50店、100店と増えていくことになりました。
フレッシュネスバーガーの1店舗目。実は最寄りの駅から10分以上離れた住宅街だったんです。
当時の定説として、ハンバーガーショップは駅前か繁華街の中でした。
でも、フレッシュネスバーガー1号店は住宅街だったんです。
しかもですよ、その1号店の物件というのが、結構飲食店が定期的に入れ替わる場所、あなたの住んでる街にもありませんか?

ラーメン屋できたなと思ったら潰れて
カレー屋さんできたなと思ったら潰れて
バーになったなと思ったら潰れて…って、またラーメン屋かい!

みたいな。そういう物件ってありますよね。1号店はそんな場所だったんですよ。
フレッシュネスバーガーの創業者である栗原さんは、この物件はやめましょうと言われたそうです。
特にハンバーガーショップとは合いません。絶対うまくいきませんからと。

結果は、1店舗目が見事成功し、そしてすぐに2店舗目、3店舗目と増えていきました。
ではフレッシュネスバーガーは、1店舗目を悪い立地に出店したにも関わらず、なぜその1店舗目が成功し、なおかつ多店舗展開に成功したんでしょうか?

製品志向ドメインと市場志向ドメイン

その疑問を紐解く鍵が、今回のテーマである「製品志向ドメインと市場志向ドメイン」にあります。
企業の事業領域には、製品志向のドメインと市場志向のドメインというのがあります。
製品志向のドメインは、自分たちの製品やサービスを基に領域を決めていくやり方です。
一方で、市場志向ドメインは顧客のニーズに基づいて領域を決めていくやり方です。

最近では、製品志向ドメインで定義してしまうと、失敗しやすいと言われています。
なぜならば製品の寿命が尽きると同時に、ビジネスの寿命が尽きるからです。

製品志向ドメインで失敗した鉄道会社

これも有名な話で、アメリカの鉄道会社の失敗話があります。
1900年代初頭のアメリカは鉄道で行き来してました。長い鉄道で東と西を行き来してたんですよ。
だから当時の鉄道会社は儲かってましたよね。
みんなアメリカ国民は鉄道を使うので、その時にアメリカの鉄道会社の経営者は製品志向で定義してしまいました。

つまり、アメリカの国民に対して「何を」のところを「鉄道を」提供するんだと考えたんですね。
ところがアメリカの国民はそうじゃなかったんですよ。
別に鉄道に乗りたかった訳じゃなくて、便利な移動手段が欲しかったんです。
その後、自動車が一般的になり、飛行機が一般的になり、鉄道以上に便利な移動手段ていうのが出てきたので、結局はアメリカの鉄道会社自体は衰退していくことになります。
仮にアメリカの鉄道会社が全盛期に市場志向のドメインだったとしたら、アメリカの人たちは便利な移動手段を求めてるんだって考えてたとしたらどうだったでしょうか?
たとえば自動車会社に出資するとか、飛行機会社に航空会社に参画するなど、いろんな道があったと思います。

市場志向ドメインが優れている理由

ですからドメインは、戦略において市場志向ドメインで捉えた方が良い。と考えてください。
フレッシュネスバーガーがなぜ成功したのか?
それは戦略のドメインを市場志向で捉えたからです。
フレッシュネスバーガーのドメインは、

誰に:マクドナルドやモスバーガーを卒業した人たちに対して
何を:サードプレイスを提供する

です。ハンバーガーじゃなくサードプレイスを提供する。
サードプレイスというのは、くつろげる第3の場所です。
そしてそれをアーリーアメリカンのイメージの店内で、パテを鉄板で焼いて本格的なものにする。さらに新鮮な野菜を使うなどの技術を「どのように」というところで提供をしています。
もちろん価格もちょっと高いです。
けれども今までハンバーガーをあまり食べなかった若い女性客が、ゆっくりと寛ぎながら、おいしいハンバーガーを食べれるようにということで、見事取り込みに成功したんですよね。
それによって、1店舗目が成功し、多店舗化にも成功したと言えます。

スターバックスのドメインを日本へ輸入

ちなみにサードプレイスと聞くと、もしかしたらスターバックスをイメージする人がいるんじゃないでしょうか?
だとしたら、あなたは戦略についてすごく勉強していますね。
そうなんです。サードプレイスというのは、もともとスターバックスの概念なんです。

フレッシュネスバーガーの栗原さんは、サードプレイスをどうやって思いついたかというと、アメリカ旅行をしてる時に、スターバックスに立ち寄ったんです。
その時に、そのコンセプトをいいなと思ったわけです。
それで日本に取り入れたということになります。
でもそんなことしたら、スターバックスの2番煎じじゃないの。と思うかもしれません。

ポイントは1992年なんです。
まだ日本にスターバックスはなかった時代です。
アメリカで流行ったものを、数年後に日本が模倣して流行らせることを通称タイムマシーン戦略と言いますが、まさに栗原さんはそこに成功してるんですよね。
市場志向ドメインというのは、必ず日本でもウケるはずだということで取り入れたのが成功要因ということになります。

ぜひあなたも自社が実際にドメインを市場志向で捉えた場合に、どういうアイデアやどういう業務上の取り組みが考えられるのか。
これを自分の頭で考えることによって、キャリアを積むにしたがって、どんどん皆さんが会社に貢献できるアイデアが増えていくと思います。
ぜひ今からそういう訓練をしてみてください。

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参考文献
●『MBAエッセンシャルズ(第3版)』内田学編著、岩瀬敦智ほか著(東洋経済新報社)
●『フレッシュネスバーガー手づくり創業記』栗原幹雄著(アスペクト)
●フレッシュネスバーガーWebサイト

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