経営戦略について知ろう
あなたは、自分が勤める企業の経営戦略や経営計画について、どのくらい理解していますか?
「書類に目を通したことがある」という方も中にはいるでしょう。
しかし目を通しただけでは理解したとはいえません。
経営戦略を実感できる環境で働けている人は良いですが、それを実感しづらい部署というのも存在します。
今回は、あなたがどのような部署に配属されることになったとしても、自分が勤める企業への理解が深まるよう、経営戦略の基礎知識について解説します。
なぜキャビンアテンダントの接客スキルは向上したのか?
今回のテーマは「経営戦略について知る」です。
ある航空会社のキャビンアテンダント(CA)のAさん。
CA職の業務は多岐に渡りますが、その中の一つに機内販売があります。
普段からとても丁寧な接客をしていたAさんは、のちに機内販売管理の地上職へ異動になります。
機内販売誌の編集やそれに関わる商品の選定、物流、販売現場などのラインの周知が主な仕事でした。
しばらく地上職を経験したAさんは、再びCA職に復帰します。
するとCA職に復帰した時に接客のレベルが上がっていたそうです。
例えばエコノミークラスで
「日本酒のサービスはないんですか?」
と聞かれた時に、以前から
「申し訳ございません。ないんですよ。大変失礼いたしました。」
と、丁寧にお断りの対応はしていたと思います。
ところが移動した先で、商品管理の仕事に携わったことによって、物流をしっかりと学ぶことができました。
そうすると、品質管理をきちんとしないとおいしい日本酒は提供できないということがわかりました。
Aさんはその経験を踏まえて
「申し訳ございません。日本酒の品質管理が難しく
美味しい状態でご提供できないので、サービスとしてはご用意してないんですよ。」
このように言えるようになりました。
どうでしょうか?
もちろん以前の接客でも丁寧だと思いますが、後者の方が
「なるほど。この会社はしっかりしてるな」
と思われるんじゃないでしょうか?
では、なぜCA職に復帰した後のAさんの接客の質は上がっていたのでしょうか?
現場仕事に異動したから気づけた「経営視点」
その疑問を紐解く鍵が今回のテーマの「経営戦略」です。
経営戦略というのは、さまざまな言葉で説明され、決まった定義はありませんが、平たく言うと企業が経営に関する将来の方針を整理したものです。
実は企業の多くの業務というのは将来の方針は経営戦略と関係しています。
目の前の仕事だけではなく、経営戦略に目を向けることによって、自分の仕事の意義が明確になり、具体的にどのように行動すればよいかが明らかになりやすいといえます。
自分の業務の意義を理解し、行動が変化する
なぜAさんの接客レベルが上がったのか。
それは、Aさんが経営戦略について知ることで自分の業務の意義を理解し、何をプラスしたら良いかが分かるようになったから。ではないでしょうか。
ちなみにその航空会社では費用対効果というのを厳しく求めていました。
実際にAさんも機内販売品を管理する仕事、つまり現場職を経験することによって、「費用に関する意識を強く持てるようになった」と言っています。そして同時に、サービス全体についての意識が大きく変わったということです。
では、なぜ費用についての意識が強くなり、サービス全体に対しての意識が変わったのでしょうか?
当時、この企業では、経営戦略の重要な要素である経営理念として、
「お客さまに最高のサービスを提供しよう」
「企業価値を高めて社会貢献しよう」
を掲げていました。
どの部署に配属されても経営戦略を理解しておくことが大切
ここからは私の仮説になりますが、異動先の部署は現場での仕事だったため、お客さまと接客している時と違って少し一歩引いた所から俯瞰して見ることができます。
つまり経営視点を持ちやすい部署だったのではないかという風に思います。
また、コスト意識や費用対効果を企業側から求められているということは、自分の人件費もコストですから、自分自身に企業が支払う費用を最大限に活かす形で、お客さまに対して付加価値をつけていく重要性というのに気づいたのではないでしょうか。
つまり、自分自身が接客サービスを通してなるべく今までよりも高い付加価値をつけていこう。それによって、サービスの質を高めていこう。そのように実感できたのではないかと思います。
この事例のように、あなたがどのような部署に配属されることになったとしても、経営戦略を理解することができれば、視野が広がり、仕事の捉え方が変化し、パフォーマンスが向上するでしょう。
ぜひ、あなたの勤める企業の経営理念に目を向けてみてください。
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参考文献
「実はCAが商品開発! – JAL機内販売の裏側」マイナビニュース(2015年8月29日)
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